人月商売って何よ
プログラマは職人、力なければ淘汰されて然るべき―ソニックガーデン倉貫氏が問う、プログラマの覚悟。│CAREER HACK
突っ込みどころはいくつもあるけど、その前に請負契約を根本勘違いしているフシがあるよね。。。請負契約自体人月商売なんて全く関係ないのに。
請負契約
請負契約ってのは、「求められる成果」に対し、その成果に見合った「納品」を行い対価をもらうわけです。
「求められる成果」を作るための工程は受託者に任せられます。つまり、受託者の力量次第で「利益」が変わるわけです。(売り上げは変わらないよ)
内容をぼかした実例。
私プロマネさんですが、過去ウン千万円のプロジェクトを受託したことがあります。
お客さんは、システム投資によりかけた金額とそれに伴う業務生産性向上を天秤にかけ、投資価値有りと判断して依頼しました。当初の想定では、標準的な工数、標準的な利益率で受託してます。
コレに対して、とある方法をプロジェクト開始時に導入することによりチームの生産性を向上させることに成功。結果、利益を当初予定より2割以上向上させることに成功しました。
ぼかし過ぎでよくわかりませんね。ごめんなさい。
でもまあ、事例を見れば分かる通り、人月商売なんて関係ないのがわかるかと思います。
最初のコスト算出では基準となる人月が必要です。
でも、売上の源泉となる提示価格では人月はあくまで原価割れしないための参考情報であり、基本はお客さんとの交渉、お客さんが納得できるシステムの価値を売上とするのです。
ちなみに、生産性向上っていっても、開発メンバーに残業など無理強いはさせませんよ。トラブル無し、残業なし。余った余力は別プロジェクトで活躍して売上更にUP。みんなハッピーなわけです。
人月商売になっているのに、能力が高かったら開発が早く終わってしまう。
短期間で済むということは、売上が下がってしまうんです。
努力して生産性を上げれば上げるほど、自分の会社に貢献できないんですよね。
特に優秀なエンジニアであるほど、割を食っているという事実。
効率を上げるために存在するのがエンジニアなのに、
自分自身にそれを求めることができない。
仮に求めてしまうと、会社から評価されなくなってしまう。
人月商売なんて、エンジニアを馬鹿にしているんですよ。
上記のような内容が参照元の記事にありましたが、真っ向反対なのがSIerの現状なんですよ。
基本、生産性向上を上げれば上げるほど少ないコストで多くの付加価値が提供できるわけです。つまり、生産性向上は利益率向上をもたらしてくれるのです。
なので、わたしの所属している会社では生産性向上は各社員に常に求められる目標だったりします。
人月神話の正体
ただ、人月神話もあながちウソではないです。少なくとも20年以上前、SI黎明期ではよく見られたと思います。
大昔、各企業は当初社内の情報システム部で内製を中心にシステム開発を行っていたのですが、不況のコスト削減の要請のため、社内システム部を情報子会社として別会社化、情報子会社はシステム開発を専門とするユーザ子会社型のSIerへと転換していきました。
ユーザ子会社のSIerは、コスト計算、原価計算が親会社に筒抜けです。親会社はコスト削減のために原価である人月の削減を求めました。営業力のないユーザ子会社Sierは親会社の要請にしぶしぶ従うべく、人月を減らして売上を減らして対応していった。。。
こんな歴史があったことを度々耳にします。
だからSIerの人月神話が問題なんだ!って思いますか?
違うでしょ。問題の本質は
- 原価が筒抜けだったため、コスト減に対する抵抗力がなかった
- 技術力、営業力の弱さのため親会社以外の顧客をつかめず、親会社の要請に逆らえなかった
ことです。こんなのはどの業態だって有り得る話です。(家電の原価がわかっていたら、家電屋で値切るっしょ??不景気で買い手側の交渉力が強ければ尚更)
まあ、人月神話が語り始められてからはや10数年。今だにSIerって業態が存在すること考えれば、人月神話の何かが違うんじゃって気づいても良い頃だと思います。
なお、SIerの中に人月商売が残っていることは否定しません。
上記のような、営業力のない会社はそうせざるを得ない現状は確かにあるかと思います。
それを一般化しなければまだ通じるかと思います。
以上