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とあるSIerでプロマネやっているオッサンです。主にシステム開発ネタや仕事ネタ、気になった三面記事ネタの解説なんかしてたりします。

フランスにおける事実婚、移民、少子化問題とあれこれ分析話

女性の社会進出と少子化対策: やまもといちろうBLOG(ブログ)

 

<追記>誤字脱字や日本語の間違いが多かったです。。。カッコ悪い。今更ながら改定しております。また、頂いたブコメに対して幾つか回答を追記してます。

 

ブコメ欄で、id:p_shirokumaさんのコメント

フランスはある程度参考になるにしても、そのフランスとて、移民や移民二世を除外した、生粋のフランス人の出生率は言うほどふるわないわけで、まあその、もごもご。

に対して、id:mikanyama-cさんのコメント

id:p_shirokumaさん INED(フランス国立人口統計学研究所)によるとフランスの女性の合計特殊出生率は移民による影響はほぼ考えなくていいレベルだそうです。(数字は出産可能年齢の女性の人口比からの推定のようですが)

というのがありました。

 

こういうのは私も気になるところ。勝手に分析させていただきました。

フランスの移民と出生率

上記答えは、以下のサイトを見てください

 

http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/9020.html

 

 

2010年時点で、フランス人の出生率が1.8に対して、移民は2.5となってます。

 

フランスの場合、移民の寄与分は27%程度。

なので、人口増のおよそ1/4は移民によるものと言われてます。

2010年の出生率平均は2.00程度。

つまり、移民を除いてしまえば、日本より多いけどやっぱり2には足りないということです。

 

実は、id:mikanyama-cさんのコメントは、Wikipediaなんかを見るに2005年時点のINSEE(フランス国立統計経済研究所)より発表された内容みたいです。2005年以降移民が増加しているため、2005年に寄与率は数%でしたが、最近はやはり移民の影響が大きいってのが現状の模様です。

 

<追記>

フランス大使館およびINEDより移民の状況です

2005年 人口比  5.4%

2008年 人口比  8.4% (ただし移民一世を含めると11%)

2011年 人口比  約10%(ただし移民二世含めると約19%)

わずか5年やそこらでほぼ倍増しているのが読み取れるかと。

このような新規移民および移民一世の方が出生率が高く、合計特殊出生率の寄与率を高めているそうです。

ただし、移民の失業率はフランス人より7ポイントほど高いこと、出生率が高いことから各種子育て世代への優遇措置を比較的多く受けていることへの反発が根強く、「国民戦線」など極右政党支持など軋轢へつながっているとのことです。

*1

 

 

 

ということで、id:p_shirokumaさんのコメントが正解かなと思われます。

 

 

ついでに事実婚出生率を向上させるか、の分析

 まずは、フランスの合計特殊出生率がどのように推移しているか見てみましょう

 

f:id:getlife:20131115225935g:plain

 

 

1994年 1.66

1995年 1.71 前年+0.05

1996年 1.73 前年+0.02

1997年 1.73 前年+0.00

1998年 1.78 前年+0.05

1999年 1.81 前年+0.03 PACS法施行

2000年 1.89 前年+0.08

2001年 1.90 前年+0.01

2002年 1.88 前年-0.02

2003年 1.89 前年+0.01

2004年 1.92 前年+0.03

2005年 1.94 前年+0.02

2006年 2.00 前年+0.06

2007年 1.98 前年ー0.02

2008年 2.01 前年+0.03

2009年 1.99 前年ー0.02

  *2

 

上記の通り、PACS法(事実婚)が導入された翌年、一時的にですが0.08ポイント出生率が増加してます。

ただし、PACS法導入以前から0.03~0.05ポイントの増加傾向があったことを考えると、合計特殊出生率に与えた影響は0.05ポイント以下と見るのが妥当でしょう。

また、翌年以降は増加傾向はあるものの、著しい増加とはいえない状況で、増減を繰り返している節も見られます。

PACS法が出生率増加に影響をあたえるのであれば、導入後も継続して出生率向上を見せても良いのですが、それが見られません。

つまり、PACS法自体は出生率増加に与える影響は限定的、ないしは無視出来るレベルと想定できます。

 

フランスの人口増加に大きく影響を与えたのは、一般に「N分N乗税制」と呼ばれる子育て世代に対する大幅な減税、20歳までの子ども手当、子育て世代に対する公共交通機関の無償化等子育て世代への優遇措置と言われています。

1970年台に導入した税制が、その後の毎年の出生数を増加させ、世代が一周りした20年後の1990年台に効果を発揮し始めたと分析されてます。

なので、本気で出生率増加を向上させるのであれば、フランスに習い子育て世代に対する優遇措置こそが有効かと思います。

 

 ※と言うか、もともとPACS法導入時点で婚外子の出生割合は全体の37%ほど。上記の子育て支援の結果増加した婚外子の法的保護のための追認という面が主目的であり、出生率増加を期待しての政策ではないと読み取れます。

 

<追記>

上記の追認措置は、コモン・ローの範囲に含まれる法措置と思われます。

現状の慣習と判例を起点とするため、社会目的との主客転倒はまま発生いたします。

社会目的を先に決めるのは大陸法で日本でも主流ですが、日本の民法などの一部は慣習法により制定されているのもあるため、決して法律をねじ曲げているわけではないかと思われます。

※大学時代のパン教でのうろ覚えレベルですが。。。

 

※また、事実婚が導入されると婚外子が増えるという懸念の声があります。しかし、フランスの婚外子の状況を見るに、婚外子が増えたから婚外子保護のために、事務手続きのハードルの高い法律婚の回避策として事実婚を導入したと読み取れます。因果関係は逆の模様です。そういった意味では、日本もフランスと同様に婚外子が出産数の過半数割を超えたあたりになれば、事実婚が導入せざるをえないのではと予想してます。 (日本の婚姻手続き自体は、PACS法と同レベルの既に容易なものなのであるため、婚外子の人権問題を中心に導入が検討されるかと思います。ただし、婚外子の遺産配分の平等化のような別の解決方法が導入されれば事実婚のメリットが薄れるため導入されないかと思います)

個人的な勝手な妄想

ここからは勝手な妄想です。。。根拠も何もナシです。

 

時折、少子化対策委員会などの政府会合で日本も事実婚を導入すれば出生率が増加する、と力説される方がいます。

実はこれ、財務省の差金じゃないかな~って勝手に妄想してます。

 

上記の通り、フランスでの出生率を向上させたのは主要因は子育て世代に対する格別の優遇です。

現在の日本の子育て世代に対する支出はGDPの0.8%程度とのことですが、フランスでは3%超の支出を行ってます。*3

なので、素直に考えれば、「子育て世代に対して税制優遇と補助を与えれば良いじゃん」となるわけですが。。。

消費税導入に代表されるように、財政難で国庫予算が寂しい状況です。

 

つまり、財務省的にはいくら少子化対策に効果があるからってあまりお金を掛けたくないって本音があることが予想されます。

そんな時に注目されたのが、「事実婚」ではないでしょうか。

 

税制優遇や補助に比べればはるかに予算がかかりませんし、リベラル層受けも良い、なんとなく効果がありそうって一般層の支持も得られそうって思惑を何となく感じるんですよね。。。保守層にウケが悪いですけど。

 

前述のとおり、事実婚出生率増加への影響は疑問です。カネを出したくないごまかしじゃないかと思われるほどです。

 

<追記>

まあ、上記妄想は半分冗談ですけど、現在の少子化対策関連の会議の煩雑さはなんとかするべきと考えてます。

事実婚もそうですけど、主要課題以外の議題が発散するような内容が盛り込まれ、総論賛成、各論反対となっているように見受けられます。

脇道の議題をそぎ落として本題をきちんと速やかに検討するようにしてほしいと願ってます。

 

 

 

まとめ

というわけで、フランスを分析した場合少子化対策は以下の2パターンに収まるかと。 

 

①フランスに習い、きちんと子育て世代に対する適切な支援支出を行う。膨大な予算と期間が必要だけど日本人の出生率増加が期待可能。

 

②移民の受け入れる。予算は①より少なさそうですが、フランスや北欧の状況を見るに軋轢が生じる可能性が大。どう解消するかは課題。

 

 

※今、子育て大変なので①で支援して欲しいです。。。

 

以上

 

 

少子化社会対策白書〈平成25年版〉

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少子化政策の新しい挑戦―各国の取組みを通して

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