男女平等と少子化対策のあれこれ分析話
女性の社会進出と少子化対策: やまもといちろうBLOG(ブログ)
そうそう、上記ブログについてはもともと、女性の社会進出と出生率に関係があるのか、をポイントに調査するつもりでした。。。
※ブコメ欄に気を取られてすっかり調査結果を公表するのを忘れてました。。。
てなわけで、「女性の社会進出は少子化対策になるのか」を調べてみました。
■調査方法
・世界男女差ランキング*1と2012年の合計特殊出生率*2を比較。相関係数をとる
・全世界/G20/G8の単位で比較
・ちなみに、同様にGDP成長率を比較した記事はこちら http://getlife.hateblo.jp/entry/2013/10/26/034718
世界男女差ランキングと合計特殊出生率との相関関係
相関係数 : 0.15
0.2未満であることを考えると、正直無視出来る範囲ですね。
全世界の単位で比較した場合、男女平等と合計特殊出生率に関係はないと考えられます。
相関係数 : 0.42
そこそこ正の相関があります。
全世界で見た場合は、GDP成長が著しい国(要は新興国や発展途上国)ほど合計特殊出生率が高い傾向があることがわかります。
G20に限定してランキングと合計特殊出生率との相関関係
相関係数 : -0.01
ほぼ無相関といったレベルです。無関係ですね。
ちなみに、GDP成長率と比較したばあいは。。。
相関係数 : 0.47
こちらも高い相関があります。
出生率の高い新興国が含まれていることが原因かと思います。
G8に限定してランキングと合計特殊出生率との相関係数
相関係数 : -0.51
そこそこ高い負の相関があります。
これは「ランキングが高い(男女格差がある)ほど合計特殊出生率が低い」ことを表します。
グラフにすると以下のとおり
↑これが日本です
これはちょっと意外でした。
というのも、以前の分析*3ではGDP成長率と無相関という関係があった上、今回の分析でもGDP成長率と出生率に高い相関があるとの分析となっていたからです。
ちなみに、合計特殊出生率とGDP成長率とで相関係数を取ると。。。
相関係数 : 0.14
こちらはほぼ無相関となっております。
考察
さて、上記分析よりわかったことは以下のとおりです
- 世界的に見れば出生率と男女平等についてはほぼ無関係といえる。G20についても同様。むしろGDP成長率と高い関係がある。
- G8に限ると結果が異なる。男女平等であるほど合計特殊出生率が高い傾向があり。代わりにGDP成長率との関係が見られなくなる。
これが意味することとしては、新興国や発展途上国など、とにかく成長途中の国については男女格差があろうが無かろうが、出生率が高い傾向がある。
これは、高い出生率による人口ボーナス効果による経済成長が発生していることを想定できます。
つまり、出生率が高い故に高い経済成長ができるということが分析できます。
ところが、経済成長が落ち着いた先進国では、男女平等であるほど出生率が高い傾向があります。
おそらく、
フランスにおける事実婚、移民、少子化問題とあれこれ分析話 - プロマネブログ
上記分析がここで聞いてきそうな気がします。
フランスを例にすれば
出産奨励(子供単位への手当の付与と優遇)
→ 子育てにかかるコストの低下による事実婚の増加と母だけの片親世帯の増加
→ 母親の就職率増加
→ 男女平等へ
という流れが読み取れます。
合計特殊出生率を増加させようとした施策により、男女平等につながったのかなと思われます。
※要は子育てという負担から開放され、女性就業率等が増加した、と考えられます。
振り返って見るに日本の場合、あまりに子育て支援が少ないため、子育てに女性の力に頼らざるをえない現状があるかと思います。
まあ、女性の社会進出のためにも、子育て支援が必要というわけなのでしょう。
まとめ
さて、まとめると以下のとおりです。
①基本は、出生率が高いほど経済成長率が高いのは世界的な傾向がある。
②先進国に限っては、出生率が高い=子育て優遇されるほど、男女格差解消につながる傾向ある。経済成長には結びつかない。
結局のところ、人口問題は基本的には経済問題なんですよね。きっと。
経済成長が見込まれる途上国ではバンバン出産するし、経済成長が落ち着いた先進国では、子育て優遇などのインセンティブがなければ出生率が落ちる。
そして、子育てという負担は女性の重しであり、政策による軽減で男女平等が実現できると。
以上