「excelでやりたいこと」の裏に潜む「潜在的ニーズ」を見つけることがシステム構築の成功につながる
前回記事の反響があまりにもたくさんだったのでびっくり。前回書ききれなかった追記を書きます。
ブコメ欄で、いろいろな方から「Excelを直接利用したら」というアドバイスが有りました。
実はオッサンも同じことを最初考えたのですが。。。途中でやめました。
やめた理由ですけど、以下の通り。いずれもオッサンの独断と偏見です。
- もともとの増田さんは、Excelでフィルタを使用するなど、そこそこExcelを使いこなしている模様でしたので、システムにガッチリと組み込むとかえって保守性が下がるかな、と考えました(id:airj12さんのコメントと同じ構想です。補足ありがとうございます)
- もともとの増田さんの文章から、システム構築にしてはずいぶん初期費用が安いので、おそらくパッケージかASP、SAASでの導入かなと推測しました。なので、Excelをシステムにガッチリ組み込むとかえってカスタマイズ費用がかかると思い、導入の容易性からテキスト出力であるCSVが落とし所と考えました。
- 増田さんの会社の本当の「やりたいこと」はExcelを使うことではないと推測しました。
で、この中で 一番重視したのは3番目の理由となります。
「やりたいこと」は欲求者本人にもわからないことがある
前回の記事でも書きました要件定義の「やりたいこと」。これは実に難しいです。
お客さん自身がやりたいことをRFPなんかでもらうことはあるのですけど、そのまま受け止めて導入しても「やっぱりいらなかった。投資のムダだった」なんてこともしばしばあります。
オッサンは、ニーズ分析を検討するとき、
- 表層的なニーズ
- 深層的なニーズ
に要求を分けて考えるようにしてます。
表層的なニーズとは、直接ストレートな欲求です。お客さん自身が感じる今ほしいものが該当します。
深層的なニーズとは、表層的なニーズの元となった欲求です。お客さんの意識には出づらいものの、本当に必要なものが該当します。
業務分析やシステム導入などでコンサルティングを行う場合は、この深層的なニーズや問題点を如何に把握するか、がポイントだったりするわけです。
昔から言われているマーケティングの有名な格言で「ドリルを買う人が欲しいのは「穴」である」ってのがありますが、まさにこれです。マーケットインの基本的な考え方となります。
また増田さんを分析
さて、また増田さんのネタを分析します。
増田さんの文章を見ると、Excelの帳票を使ってフィルタリングや計算処理などを行っていることが読み取れます。
ということは、増田さんのExcelの使い方は、Excelで作成した売上帳や在庫帳票などを作成し、来週の予想仕入発注で使ったり、勘定元帳への転記に使っていたんじゃないかな~って推測したわけです。
つまり、増田さんは「Excelで分析や計算をすることが必要」なのではなく、「後続の業務をスムーズに行うためにExcelが必要」だったのではないか、と予想しました。
なので、増田さんのニーズを整理すると
- 表層的なニーズ ・・・ Excelを使って情報分析や計算を行いたい
- 深層的なニーズ ・・・ 後続の業務を円滑に進めたい
ってなると思われます。
つまり、本来やりたいことは「Excelなどの人力で分析などを行っている定型的な業務をシステム化し、スムーズに業務が改善できるようにしたい」となると予想されます。
ここまで分析すれば、ちゃちゃっと生産性予測等の分析を行い、あとはもう上役あたりに
「しゃちょうさん~。増田さんの現在Excelで行われている業務ですけど、この在庫数に応じて仕入を行う機能なんかをシステムで自動で処理して発注伝票まで作成するようにしたらどうでしょ?増田さんや後続の事務さんの定型的な仕事減らすことができるんで、○○万円相当のコストメリットえられますよ。増田さんみたいな現場の優秀な人をもっと稼げるような仕事に割り当てれば、御社の売上もアップしますよ」
なんて提案するわけです。で、これで追加案件をGET。まあ、アコギな商売ですな。
まとめ
まあ、オッサンなりの「やりたいこと」に対するアプローチ方法を考えてみましたが、これもいろいろな考え方があります。
オッサンは業務改善(生産性向上)の視点で上記のような提案アプローチがあると考えましたが、コスト削減、売上向上や利益向上など、目的如何ではまたアプローチが変わることがあります。
これらお客さんが意図していなかった本当のニーズにグサっと刺さるような提案をし、それを実現できるシステムを導入した時、頼れるソリューションプロバイダになれるんじゃないかなって常々思ってます。
と言うか、こういう提案が一番カネになるんですよね。。。
お客さん自身が見えている表層的ニーズを解決した場合、お客さんが主役、システム屋はお手伝いって関係です。見えている課題が解決したらおしまい。もっと安く構築しろなんて言われることもしばしば。
これが一転、お客さんが見えない深層的なニーズを解決できる提案をした場合、システム屋が主役となります。次々にお客さんのニーズ・問題点を解決。お客さんもシステム屋も両方嬉しい関係を築けるかと。
まあ、陳腐な言いまわしですけど、Win-Winの関係は大切ですねってことかな。
以上