「クラウド時代に自ら変革、日本のSIにパラダイムシフト」の雑感
「2015年問題」がIT業界に迫る覚悟 - [2015年問題4]クラウド時代に自ら変革、日本のSIにパラダイムシフト:ITpro
ふ~む。上記記事を見ていて気になる記述がありましたので、ちょっと言及してみます。
クラウドで期間は短くなる?
ユーザー企業がパブリッククラウドを望めば、運用・保守やシステム基盤構築は不要になり、設計や要件定義にも従来とは異なるスキルを要求される。必要なソフト機能をネット経由で複数のクラウドから利用できるようにする、SaaSベースのSIが必須となる。
こうなると期間(工数)は短くなり競合も激しく薄利多売は避けられない。プライベートクラウドも、ほとんどの企業が自社センターからホスティングに変更する。
ちょっと問題となる記載がコレ。
「運用・保守やシステム基盤構築は不要」とありますが、パブリッククラウドになったから運用・保守が不要ってのはちょっと。。。
パブリッククラウドだって稼働率100%ではないので、システムダウンなどに備えて運用体制は必要です。基盤エンジニア以外にも、ソフトウェアエンジニアなどが保守を行う必要もあるでしょう。
まあ、データセンター運用体制が不要、ぐらいの意図なのかなあ。
システム基盤構築が不要ってのも微妙。ハードウェア基盤はともかくとして、アプリケーション基盤(ミドルウェア設計)は必要ですし。。。
アプリケーション開発との垣根が低くなり、アプリケーション開発者もミドルウェアの構築を行うようになるってのなら理解できますけど、それはシステム基盤構築は不要って意味じゃあないしなあ。
まあ、ここまではいいです。
※いや、本当はよくないけど。
でも、本当に気になったのは「期間(工数)は短く」です。
クラウドだからって必ずしも期間が短くなるわけじゃあない
時折雑誌などで賑わう「クラウドで工期が短くなる」。
・・・いや、要件次第ですから。
基盤構築を含む要件なら、基盤導入部分の期間を短くすることもできます。
パッケージや、Saas含む既成サービスを組み合わせる場合もアプリケーション開発期間を短くすることができます(でも、この場合はオンプレミスでも同様に短くできるのでクラウドだからってわけじゃないので微妙。。。)
でも、ベタなスクラッチ案件で期間を短くすることはできないんですよ。
結局、プログラムを作らなければならないし、設計もしなければなりません。テストも必要。基盤がクラウドで構築したとしても、やることはオンプレミスと大差ないです。
こういうのを企業の上層部の人が鵜呑みにすると厄介なので、正直やめて欲しいです。。。
※と言うか、母体の日経コンピュータなんかだと、そういった上層部の人にウケがいいから掲載しているのかもしれませんが。。。
まとめ
メディアって結構切り口が断片的だったりするので、本来であれば個々の事由や根拠をきちんと考えなければならないようなことでも、十把一絡げに記事にすることがよくあります。
それは、読者にわかりやすくってためでもあるんでしょうけど、その情報がまわりまわって余計な軋轢を生むこともあるんじゃあないだろうかって気がします。
多分、誰かが泣いてそうな。
今回はただのグチでした。
以上