IT担当者は、見積妥当性よりも投資の費用対効果を見たほうが良い
まあ、増田記事の内容見るに、動的コンテンツの改修なんだろうけど、正直なこと言うとランサーズの静的コンテンツ作成5000円と比較している段階で、おそらく元増田氏はシステムの構造や内容など把握してないと思われますね。。。
そんな元増田向けの、保守会社からの見積もり妥当性を見極める簡易的な方法を、ベンダ側のプロマネのオッサンより伝えられればと。
類推法を使おう
昔、見積もりに関する記事*1書きましたが、パラメトリック法やWBS法等の見積手法は、システムの構造を熟知し、大体の作業量を理解していないと妥当性のある見積もりを把握することは困難です。
ユーザ企業側の元増田では、ちょっと厳しいかなと。
このようなユーザ企業側の元増田が見積もり妥当性を検証するための方法としては、「類推法」を利用するのが良いでしょう。
類推法ってのは、「過去の対応案件で似たような案件を元に見積もりを行う技法」です。この手法ですが、新規開発ではあんまり精度がでない見積もり手法なんですけど、保守開発では結構強力で、かなりの精度を出すことも可能です。
おそらく、保守開発って言っても半分くらいの案件は「画面の表示を変えたい」「表示している金額を変更したい」みたいな似たような案件になると思うんですね。
で、そういう案件を見積もったら、毎度見積書を取っておいてくださいな。
大体似たような種類ごとに整理しておくとベスト。
で、次保守会社から出てきた見積を、過去似たような案件と比較して値段が大幅にずれてないかチェック。
ものにもよるけど、個人的には2割以上ズレるようなら理由はきちんと聞いておいたほうがいいかな。
まあ、至ってシンプルな方法ですが、似たような案件、似たような改修内容であれば金額もほぼおなじになるはずなので、それなりに効果があります。
類似案件がない場合は、費用対効果で判断する
類似案件がない場合、その場合も見積もりの妥当性を検証しないといけない場面があるかと思います。
この場合は、割引キャッシュ・フロー法(DCF法*2)等を元に収益性判断使うと良いです。
要は、「案件成果物システムの価格が妥当か」という視点から、「システム価格を投資した場合に収益が十分あげられるか」という視点のほうが良いです。
ランサーズの案件なんて見ても、システム構造、対応内容、品質保証など様々な要因が違う以上は、何の参考にもなりません。
正直、類似案件がない場合の保守案件の妥当性検証は、よっぽど変な見積もりでない限り、同業者だってコンペティターだって検証困難です。
となれば、いくらで作れるか、よりも、現在の見積り価格を正として、このシステム投資で利益が稼げるか、といった観点のほうがよっぽど妥当な投資ができるでしょう。
まとめ
まあ、色々書きましたが、まとめると
- 類似案件があればそれと比較する
- 類似案件がなければ、費用対効果で判断する
っていうのが、ユーザ企業のIT担当者として考えるべき「適正価格の判断」になるかな。特に2点目を重視するのが良いですね。
システムの見積金額にばかり注目が行きがちなんですけど、システムの見積を行うってことは投資を行うことです。
ユーザ企業側の担当者として、ぜひとも費用対効果の妥当性を見極められるようにしたほうが良いかなと思いますよ。
以上