『細川義洋×山本一郎「なぜ、システム開発は必ずモメるのか?」 』の所感
Developers Summit2014 リポート:ベンダーよ、シェルパの屍を越えていけ ~ 細川義洋×山本一郎「なぜ、システム開発は必ずモメるのか?」 (1/2) - @IT
2月14日は仕事が忙しく聞きに行けませんでしたが、サマリレポートだけでも非常に楽しめたので、所感を。
バンバン出てくる実社名。。。大体予想できる会社でしょうけど、聞きたかったなあ。
出てきた内容からの所感を幾つか。
プロマネの仕事はやっぱり政治だ。。。
細川氏は、トラブルを防ぐためには「根回し」が大切だという。ベンダーは、ユーザーが「ちゃんと決めてくれる」かどうか、そして「誰が本当のキモなのか」を見極める眼力が必要だ。キーマンを見付けて、その顔色を見て、泥臭い根回しを続けなければならない。「開発は、きれいな身体ではできないものです」
これも典型的なあるあるですね。
正直、ステークホルダーを如何に上手く調整するか、ステークホルダーを抑えて自分のメンバーを守りつつプロジェクトを安定的に進めるか、そういった利害調整をプロマネの仕事として常々行っているんですけど、まさに政治家のお仕事ですよね。。。
プロジェクトって、開発段階に入るまでに勝負があると思ってます。
「彼を知り己を知れば百戦殆からず」ってやつです。
追加要件や無謀な要望、厳しいスケジュールなど、常時発生する問題をいかに上手く捌くか。。。ステークホルダーを及第点で納得させなければなりません。
それがきちんと行えるかどうかで、メンバーの負担や生産性が全然違いますね。
いざとなったら、現場より上のレイヤーで話をまとめてもらうのも、時にはアリだろう。「銀座や北新地という街は、そういうときのためにあるんですよ」という細川氏の発言には、山本氏も「いい話ですねー」と応答。
こういう調整はやったことないですけど、楽しいのカナ~
開発中断は極力避ける方向に動くべき
本文中で細川氏は、デスマーチなどが発生した場合にプロジェクトの開発中断を行えるようにするべきだ、と訴えられてます。
たしかに、原則的には正しいのですが、これだとユーザはシステムが導入できず不幸になります。ベンダーだって信頼を失うだけでなく、金銭的な負担を負うハメになります。開発現場だって途中で仕事を中断ではモチベーションが下がってしまいます。
オッサンは基本的には、デスマーチの予兆を感じた段階で、すぐさまフォーカス変更を行えるようにするべきだと思います。今現在の開発段階から、どこまでの要件なら満たせるのか、どの要件は対応できないのか、お客と調整できるようにして、関係者の落とし所を見つけるべきです。
その後のお客との関係、エンドユーザからのお客への信頼、社内の関係、メンバーのスキル蓄積など、100の目標を0にするのと1にするのでは重みが違います。
そういった意味では、プロマネは常に開発状況をウォッチしながら、「方向転換がきく分岐点」を抑えておくべきだよなと思います。
今現在、シェルパになれるベンダーは一握りかも
最後の締めで。
「ベンダーは、ユーザー企業と良い人間関係を構築していくことが大切です。そのためにも、ユーザーに信頼され、リスペクトされるようになって、今のシェルパのような位置を勝ち取ってください」
仰るとおりで、少なくとも今現在の請負としてのベンダーが生き残るためには、シェルパ的な先導者として生きていく道は必要かなと思います。
ただ、それを実現できるベンダーって正直一握りな気もします。
お客からすれば、「このベンダーでは出来なかったとしても、別のベンダーなら出来るんじゃない?」という疑惑を感じてしまった場合、ベンダー切り替えなんて憂き目をあう場面もしばしばです。
元記事にもある通り、お客から「このベンダーが言うことなら間違いない。他のベンダーでもできないだろう」っていう理解がなければならないかと思いますが。。。
どれだけのベンダーがお客を納得させられるのでしょうか。。。
システムベンダーって得意な業務分野を持っていることがほとんどですが、そういった業務分野の第一人者のベンダーであれば、比較的納得を得やすい気もしますが、それ以外だと中々シェルパ的な立ち位置は浸透しなさそうな気もします
まとめ
今回の記事ですけど、やまもといちろう氏の現場の苦労感じている感が実によく現れていた思います。
さすが、切り込み隊長ですね。
オッサン的にはぜひとも一言追加したいです。
「プロマネはシェルパであるべき」だと思います。
オッサンの記事でも何度も書いてますが、開発の現場とお客、経営層といった上位層との橋渡しをしているのはプロマネだったりするんですよね。
そういった意味では、プロマネはプロジェクトのシェルパとして信頼されるべきだろうなって思います。
正直、プロマネがお客から信頼されないと最悪です。
経営層などの上位層から信頼されないと厳しいです。
メンバーから信頼がないと進めません。
プロマネがプロマネたるためにも、信頼がキーワードとなることは間違いないです。
「コイツなら全件全権任せても大丈夫」という言葉をステークホルダーから引き出せてからが、プロマネとしての本領発揮ですね
以上

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