プロマネブログ

とあるSIerでプロマネやっているオッサンです。主にシステム開発ネタや仕事ネタ、気になった三面記事ネタの解説なんかしてたりします。

大手SIerが丸投げできない理由

電通と博報堂は丸投げで中抜きしかやらない - はてな村定点観測所

 

 

 

そういえば、この前話題になったnetcraftさんの記事ですけど、SIについてもちょっと触れられていたので補足まで。

 

大手SIerでは基本丸投げできない

元請けがシステム開発の上流工程やマネジメント行っているので、丸投げではないというコメント欄の指摘がありましたけど、そういった能動的な理由以外にも、大手SIerではシステム開発を基本丸投げできない理由があります。

 

理由1 そもそも丸投げ可能な案件がやってこない

昔ならともかく、これだけ情報システムが身近になった現在、丸投げがカンタンにできるような案件はそうそうやって来ません。

ユーザ側も、システム投資について勉強してきてますので、きちっと妥当性判断します。

なので、まるっと丸投げできるような案件は、コスト割高になりがちな大手SIerには来ないです。

 

※費用感合わず提案見送り、みたいな感じですね。ここ近年よくあります。

 

 

理由2 丸投げはリスクが高い

丸投げをするってことは、当然開発リスクを再委託先に渡す形となります。

万一リリース段階でヘッポコなシステムが納品された場合、瑕疵担保責任を負うのは契約上は元請けとなってしまいます。

これで丸投げ先がきちんと瑕疵担保対応できればよいのですけど、システム開発費用以上に費用がかかることもザラなため、委託先が音を上げてしまう恐れもあります。

となれば、元請けは大損覚悟で何とか対応しなければなりません。バックレると信頼を失ってしまうため、大手は逃げられないのです。。。

瑕疵担保責任をつける請負契約において、丸投げは元請けからすればリスクコントロールが行えないため、リスクが高すぎて割にあわないって感じです。

 

理由3 株主から指摘される

元記事ではデータが例としてあげられてますが、丸投げを行いますと、会計上は売上高に対して外注比率が高まることとなります。

このため、持ち出し費用が増加し、利益率が低下するわけですが、このような決算を株主に出したら、外注比率は適切なのか、みたいな感じで指摘されることがあります。最近の株主の目は厳しいです。

株式公開している会社なら当然なんですけど、営業活動は外部からの目にさらされておりますので、丸投げして稼ごうなんて考えは、従業員を有効活用した事業活動が行えてないといった指摘を受ける可能性があります。

そういった外部からの目に対してきちんとコーポレートガバナンスを説明できるよう丸投げは避けるようになります。

 

 

以上はオッサンが丸投げしない(できない)理由ですけど、多分大手のSIerと呼ばれるところは大体事情は同じじゃあないかと思います。

なので、丸投げは大手のSIerからすれば割にあわない事業であるため、まず行われないってのが現状かと。

 

まあ、逆に言えば昔は。。。

ガバナンスもへったくれもない時代からすればましになったかなと。

 

他の方もコメントしてましたけど、大手SIerではマネジメント、要件定義、アーキテクト設計や技術的フィジビリティ検証、品質保証等々のシステム開発の一部を担当しており、きちんとシステム開発のコントロールを行うようにしており、丸投げをしてないってのが実情です。

ここらへんは好みに分かれるところですが、実際に分業により生産性をあげられることも事実ですので、一方的に否定できるもんではないかなと思います。

 

 

丸投げは「大手」ではやらないけど。。。

とはいえ、大手SIerで案件丸投げをしないからといって、業界として丸投げがないか、と言うとそんなことは無いのは実情です。

 

あんまり詳しい話はできませんけど。。。

 

前述した丸投げができない理由を逆にして、「丸投げ可能な案件がやってきて」「自分で開発するより丸投げしたほうがリスクが少なく」「株式公開しておらず外部からの目がない」みたいな条件下であれば丸投げしたほうが良いみたいな選択肢も出てくるんですよね。。。

 

まあ、よく出てくるような大手SIerの世界よりも、名前が出てこない世界のほうがよっぽど魑魅魍魎が跋扈する世界だと思うわけですよ。

 

ただ、オッサンの感想ですが、マネジメントが苦手で手に負えないな案件については、無理矢理で対応するよりも大手SIerに丸投げしてもらったほうがいいんじゃないかと思うことがしばしばあるわけですよ。

マネジメントが手に負えず開発現場は炎上、プロジェクトが破綻したり、偽装請負として是正勧告を受けるよりか、多少利益は減ってでもプロジェクトをまるっとこっちに任せてもらったほうがまだ幸せだよなと。

 

丸投げしなければならないシガラミについては、オッサンがどうこう言えるようなもんでもないので、次善の策としての丸投げであれば仕方ないのかね、と思うわけです。

 

まとめ

まあ、色々書きましたが、最近の大手SIerは外部の目にさらされていることもあり、丸投げできないって感じが現状だと思います。

 

一部、ろくでもないPMがやっているかもしれませんけど。。。

また、請負契約の形で仕事を依頼した場合、再委託先では全体背景が見えないと丸投げに見えることもあるんじゃないかなと思います

 

 ※追記

 

よく考えたら、大企業、大規模案件を前提に書いてましたね。。。

それ以外では。。。

 

 

以上