プロマネブログ

とあるSIerでプロマネやっているオッサンです。主にシステム開発ネタや仕事ネタ、気になった三面記事ネタの解説なんかしてたりします。

「アメリカのITに勝てない理由」を探すよりも「勝てる領域」を探して勝負したい

日本のITが永久にアメリカに勝てない理由 | BLOG HOMME

 

読んでて、なんだか学生時代を思い出すなあ、みたいな内容で懐かしく思ってしまい、ついつい感想を書いてみたくなりました。

 

日本のキャリアアップの手段として、コンピュータサイエンス修士まで

今はどうかは知らないですけど、オッサンの学生時代、情報系学生は修士までいくのが当たり前、学士と博士は少数派って感じでした。

 

大学卒業生の1/3ぐらいが学士で卒業。2/3のウチ、9割方そのまま同じ大学院に持ち上がり、1割は他大学院へ。その後、99%、ようは大学教授を目指さずに民間就職を選択した人間は修士(博士前期課程)で退院する感じです。

 

大学院に行く目的は、理系就職では修士卒のほうが給料が上がったり、大企業に就職されやすいって目的がほとんどだった記憶があります。

そういった意味では、アメリカの学生が博士に行くのとおなじ感覚なのでしょう。

他大学の様子を聞いても似たような感じだったので、多分、日本の理系学生の間では大体おんなじだったのじゃあないかな。

 

当時から、「博士号は足の裏の米粒」と揶揄されてました。取っても食えないが、取らないと気持ち悪い、という意味です

 

そういや、オッサンが修士時代のとき。自分で立案した研究を行っていたので、「英語論文書いて掲載されれば博士号やるぞ」と冗談交じりに言われたことがあったのですが、特に博士号に興味なかったので「アメリカ人が日本語を理解して私の論文を読めるようになれば良いと思います」ってへんちくりんな回答した記憶があります。。。

我ながら、何様だって感じですが。。。まあ、若気の至りですね。

 

まあ、アメリカの修士、博士は、日本とは全く違うのであまり単純な比較はどうかと思うのですが(アメリカは日本のような「博士前期課程(=修士)」「博士後期課程」と期間の分離を博士、修士と呼ばず、修士コース、博士コースと分離している、等)、民間企業が博士をアメリカでは尊重している点は確かなので、その分だけ博士の間口が広いのは確かでしょう。

 

 

 

ああ、懐かしい。この手の話が未だに賑わっているということは、昔と全く変わってないってことですね。。。

 

技術の活用のためにも、より博士を重用しても良いかな、と思いますが、企業、大学だけでなく、学生自身も意識を変えないとダメかなと思います。

※オッサンの時代の博士後期課程の学生でも、あまり民間のエンジニア就職に興味が無い人がいたので。。。

 

まあ、きっと先は長いですね。

 

 

 

日本はSIerの世界的にはわりかしマシ

長い前置きはここまでにして。ここらか本題。

SIerの人間なので、ITサービスよりかベンダの視点で以下語りたく。

 

 

この前、世界のベンダ事情*1について書きましたが、日本のベンダって世界の中ではわりかしマシな方だったりするんですよね。。

 

各国のベンダ事情を整理すると

1.多国籍化したベンダーが技術を世界に輸出して稼ぐ国(アメリカ)

2.技術を輸入し、内国ベンダーが提供する国(日本、ヨーロッパ諸国など)

3.内国ベンダーが存在せず、メガベンダーの力を借りる国(東南アジアのいくつかの国など)

みたいになってます。

自国でシステム開発技術を持っており、アメリカの多国籍ベンダーが市場を圧巻してないのって案外限定的なんですよね。

 

そういった意味で、トップランナーは走ってないものの、わりかし世界の中でも健闘しているのは日本のベンダがまあそれなりに頑張っているのでは、と思ってます。

 

※言語事情などもあるかもしれませんが、多国籍ベンダーが圧巻している国で非英語圏の国もいくつもあるので、技術力などの点はそれなりにあると思います。

 

 

日本の勝負どころは、品質と信頼性

さて、そんな感じでそこそこ頑張っている日本のベンダですけど、日本のITシステムはアメリカの10倍以上トラブルが少ない*2ってことがしばし指摘されます。

 

アメリカが世界中から優秀な博士学生を呼び寄せ、新サービス、新技術といった「攻め」に強い能力を持っているのならば、日本は学士や修士の人間の能力の集積による品質、信頼性といった「守り」に強い能力を持っているのじゃないかなと思います。

 

ここらへんは、すり合わせ得意な日本らしいって言う感じですかね。

 アメリカ出羽守の某メディアだと「過剰品質だ」なんて言って、日本の悪い点として挙げられたりするのですが、オッサンはこれもまた十分な良い点、勝てる能力だと思ってます。

  

まあ正直な意見、アメリカの得意領域でわざわざ勝負しなくても良いんじゃないかなと思います。

「日本のIT(=新規サービス、技術革新性)が永久にアメリカに勝てない理由」ならば、これに対抗するは「アメリカのIT(=システム品質、信頼性)が永久に日本に勝てない理由」を押し出して勝負するのが戦略ってもんでしょう。

 

特に、ITシステムの重要性が拡大している近年、信頼性、品質で勝負できる場も出てきてますので、そういった領域で日本らしさを出すのも手かな、と思います。

 

まとめ

色々書きましたが、まとめると

 

「日本のITが永久にアメリカに勝てない理由」を探し、真っ向勝負を挑むのも一つの解だが、日本が得意な技術を活用して「アメリカのITが永久に日本に勝てない理由」となりそうな領域で勝負するのも戦略

 

と思ってます。

 

まあ、勝負の仕方は一つではないです。

地味かもしれませんが、戦略的かつ強かにアメリカの「攻め」に対抗するのも生き方かなと思います。

 

以上