日本でオフショア開発が普及するとプログラマの給料が上がる仮説
ここ数日「アメリカのプログラマの給料が高い!」という話題が飛び交ってますね。
まあ、給与の話はだれでも気になりますよね。私も気になります。
日本でオフショア開発が普及するとプログラマの給料が上がる仮説
もしかしたら、アメリカのプログラマの給料が高い理由って以前書いた記事に大きく関係するんじゃないかなと思ったので、ちょいとイメージを整理してみようかと。
アメリカの20年前に起きたオフショア活用の拡大と同様の事態が、日本人プログラマ*1の人とお金の動きに与える影響イメージを図示してみます。
かなり適当な絵ですけど。。。
ざっくりと説明すると
- 国内のプログラマの仕事のうち、日本人プログラマでは採算の合わない仕事がオフショアへ移管。逆に、日本人が必要となる高スキルな仕事でのプログラマが残る。
- 一部の高収入なプログラマを除き、多数のプログラマは仕事を失う。一部の資金はオフショアの外注費となるが、オフショアは人件費が安いため、結果として余剰資金が発生。
- (IT投資意欲が減少しない限り)余剰資金を国内プログラマの雇用に再投資。平均給与が既に上昇している状態なので、上昇後の給与をベースに再雇用。仕事を失ったプログラマの一部が新たな仕事に。
といったイメージとなります。まあ、まんまアメリカの昔話を日本に当てはめただけです。
つまり、日本のプログラマの仕事がオフショアに移った場合、失職するプログラマが多数発生しますが、それでも残ったプログラマの平均年収は今よりも上がる形になるわけですね。
上記図の最初で、プログラマの人数と年収を企業規模ごとに変えた形で図示してます。これは、政府統計から、プログラマ給与の基礎データを抽出したデータを参考にしたためです。*2
企業規模 | 平均年齢 | 人数 | 平均月収 | 賞与 | 年収 |
1000人以上 | 35.7 | 15890 | ¥376,000 | ¥1,371,100 | ¥5,883,100 |
100~999人 | 31.3 | 27250 | ¥313,400 | ¥615,800 | ¥4,376,600 |
10~99人 | 31.7 | 38970 | ¥275,200 | ¥426,600 | ¥3,729,000 |
平均 | 32.3 | 合計 82100 | ¥307,400 | ¥672,100 | ¥4,360,900 |
上記の表からの推測ですが、もし、今現在の状態で日本人プログラマがアメリカのプログラマと同程度の待遇(物価や社会保障の差異を考えると平均年収が600~800万円ぐらい)を得ると想定した場合、日本人プログラマは現在の2~3割ぐらいしか残らないんじゃないかなって気がします。
※要は、上記の大企業で年収600万円相当をもらっているプログラマが、スキルの高い国内残存プログラマにそっくり入れ替わるイメージ。
ちなみに、アメリカではIT投資意欲が高く、追加予算がどんどん振り分けられた形となります。当然、プログラマ需要が高まったわけですけど、上記の失職したプログラマではなく、H1‐Bビザを活用してオフショアや国外の優秀なプログラマを呼び寄せる形になったとのこと。
結果、現在のシリコンバレーの移民および移民一世に比率は「64%」になったとのことです。*3
まとめ
まあ、色々書いてみたわけですが、アメリカのITエンジニア事情にあこがれて日本も同じようにしようとした場合、しわ寄せがどこかによっちゃうんだろうなと推測できるんですよね。
なんで、「アメリカのエンジニア事情は素晴らしい。日本もマネすべき」ってのを聞くと、どうしても身構えて慎重に考えてしまいます。
こういうときに、誰もが幸せになれるような画期的なアイデアが浮かべば一商売できそうな気がするんだけどなあ。なかなか難しい。
以上