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プロマネブログ

とあるSIerでプロマネやっているオッサンです。主にシステム開発ネタや仕事ネタ、気になった三面記事ネタの解説なんかしてたりします。

ユーザ企業がITベンダーを駆逐できず、ユーザ系ベンダの一員となる未来

木村岳史の極言暴論! - ユーザー企業がITベンダーを駆逐する:ITpro

 

う~ん、ITベンダーの中で、ユーザ系業務と無関係な純粋なITベンダーってどれほどあんのよ、というツッコミがあるわけで。。。

 

情報サービス業界の売上高ランキング

以下に情報サービス業界の売上高ランキングを挙げてみます

 

表.情報サービス業界の売上高ランキング *1

順位 会社 分類
1 NTTデータ NTTの情報部門から派生したユーザ系
2 大塚商会 機器販売からソリューションへ転換したユーザ企業(独立系)
3 野村総合研究所 野村證券のIT部門から派生したユーザ系
4 ITホールディングス 三和系を元とする元TISがインテックと合併したユーザ系
※指摘を受けて修正
5 伊藤忠テクノソリューションズ 伊藤忠の情報子会社を元とするユーザ系
6 SCSK 住商情報システム部門を元とするユーザ系
7 日本ユニシス ユニシスの元日本子会社を元とするメーカ系
8 NECフィールディング NECのソリューション部門を元とするメーカ系
9 新日鉄ソリューションズ 新日鉄の情報子会社から派生したユーザ系
10 ネットワンシステムズ 三菱商事アンガマン・バスの合弁子会社の純ベンダー(独立系)

 

見ての通り、売上高上位の企業の過半はユーザ系、ないしはユーザ企業がシステムソリューションベンダに転向しているわけで。。。

 元々、情報サービス業界自体がユーザ系のベンダーによって拡大し続けている現状が見えます。

 

業務ドメインの壁により、寡占が進む情報サービス業

さて、上記のように多数のユーザ系、元ユーザ企業のITベンダーが今も既に存在しているわけですが、大部分のユーザ企業間で厳しい競合があるのか、と言うとそういうわけではないです。

つまり、「すみ分けがされている状態」なわけです。

 

実は、この前書いたシステム内製化でSIerへのシステム外注より競争力を高められるのか - プロマネブログ の話に触れる内容です。

 

前述したランキングに位置するベンダーや、その他中小のユーザ系ベンダーなどは、結構得意とする領域を持っており、ときには特定市場の業務システムを独占、寡占することも珍しくありません。

 

元々、ユーザ系を元としている分、業務知識に長け、システムベンダーとしての開発力があるベンダーとして、必然的に特定業界に対して競争力のあるシステムを提供し、その業界のデファクトスタンダードとなるからです。

こういった寡占状態となったシステムベンダーは、寡占企業としての戦略(追随の内製ユーザ提供サービスの同質化戦略等)を駆使することで、追随する内製ユーザを潰しにかかったりもします。ちょっとやそっと、追随ユーザの開発力があったとしても、このような差別化無効戦略を取ることで確固とした地位を稼ごうとすることも珍しくありません。

 

このような形でいくつかの特定業界向けシステムでは既に独占、寡占化された業務システムが存在するわけですが、元記事にあるような新規ユーザ企業についても、今現在のユーザ系ベンダ、元ユーザベンダと全く同じ形で特定業務ドメインに対して独占的、寡占的地位をもつベンダーとして情報サービス業に参画する形が予想されます。

 

ところが、これらユーザ系企業の常として、業務ドメインの壁、という問題があります。

 

情報サービス業で差別化を行おうとした場合、特定業務ドメインへのノウハウを持ち追随ベンダーを排除することは比較的容易でも、新規業務ドメインに競合として参画しようとするのは、途方も無い壁を超えなければなりません。たとえどんなに内製の開発力があったとしても、です。この業務ドメインを超えようとして、大手ベンダでも苦労している姿が散見されます。

例えば、銀行業では寡占的地位を占めているNTTデータですが、同じく寡占的地位を占めている野村総合研究所が存在する証券業に参画したりはしてません。

要は同じ小売業だからといって、トヨタネッツがスーパーに参画しないのと同じですね。必要とされる業務ドメインの知識が違います。

 

というわけで、元記事にあるようなユーザ系企業が参画してきたとしても、結局は業務ドメインで微妙にすみ分ける事になるだろうとカンタンに予想できるわけです。

 

 

このような情報サービス業の現状を理解していたら、元記事にあるような

ただし、今後IT企業と化すユーザー企業は、システムの内製力が高い。従ってSIとして請け負える仕事は、どんどん小さくなるだろう。 

なんてのは「で、どうやって業務ドメインの壁を超えるの?」と問われるような内容です。

 

クラウドやIoT、ビッグデータ関連など今後有望な新規市場は、IT企業化した(かつての)ユーザー企業、あるいは新興のITベンチャーのものとなる

なんて記載を見るに、業務ドメインと、技術領域を混在してますね。。。

これじゃあ、情報サービス業界を正確には捉えられません。

 

既存業界だって、着実に業務システムは進歩し続けてます。ここで上がっているような、クラウド、IoTなどの技術領域も既存の業務ドメインのシステムにもチラホラと広がってきているわけで。。。

 

まあ、そういった現状にもかかわらず、

ユーザー企業の“IT企業化”が進み、既存のITベンダーの手ごわいライバルとなるのだ。

っていうのはちょっと予想が甘いかな~。

 

まとめ

というわけで、まとめると

  • 既に売上高上位に位置するような大手ベンダの多くは特定業務ドメインへの競争力を保有済み(場合によっては寡占状態も)
  • 新規のユーザ企業が参画しても、従来のSIer市場が食われ縮小する可能性は殆ど無く、すみ分けになる公算が高い
  • 実際ところ、従来の業務ドメインの業務システムについてもクラウド等新技術の導入は進んでおり、ドメインの壁から従来のベンダが対応している

となります。

 

まあ、過去から現在に至るまで繰り返されてきた情報サービス業界の常なわけで、そのような状況で「ユーザ企業がITベンダーを駆逐する」なんて言うのは暴言というよりか暴投に近いような。。。

 

それがカンタンにできれば、オッサンの仕事は苦労しません。

  

以上

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