システム内製化でSIerへのシステム外注より競争力を高められるのか
ちょっとだけ追記を書きました
「システム内製化でSIerへの~」のほんのちょっとだけ追記 - プロマネブログ
内製開始後、シェアが低下したマネックス
フランケン:はい。そして「インソーシング(内製化)」にするということです。必要なシステム、ソフトウエアをマネックスの中で作ってしまう。内製化は2011年から始めて、順々に進めているところです。
元記事にあるように、2011年からシステムの内製化を始めたマネックスですが、その結果はいかがでしょうか。。。
インターネット専業証券は、「インターネットを使ったウェブサービス企業(システム投資以外の営業チャネルが少なく、システムの品質が売上にリニアに影響する)」「システム内製、外注を行っている会社が混在している」「情報が公開されている」と言った点から、システム外注と内製でどのように企業活動に影響があるのか、うってつけの題材だったりします。
ちょっと以下に業績を並べます。
オントレシステム開発主体 | 2011年 | 2014年 | |
SBI証券 | 外注 | 33.8 | 35.3(+1.5) |
楽天証券 | 設計まで内製、開発は外注 | 14.7 | 15.2(+0.5) |
松井証券 | 元々は内製。今は外注 | 8.1 | 11.0(+2.9) |
マネックス証券 | 徐々に内製 | 7.4 | 6.5(-0.9) |
カブドットコム | 内製 | 6.8 | 7.7(+0.9) |
その他 | 29.2 | 24.3(-4.9) |
上記を見ての通りですが、マネックス証券が内製化を開始して以降の3年間、シェアは下がり続ける一方です。
オントレシステムを外注しているSBI証券、松井証券は好調にシェアを伸ばしてます。もうそろそろ、SBI証券、楽天証券、松井証券の3社でインターネット専業証券業界の売買代金シェアが寡占状態になってしまいます。
カブドットコムも昔から内製化を行っております。業界順位は昔からずっと5番目キープでしたが、ついにマネックスを抜かして4位に躍り出てます。
このように、インターネット専業証券においては、システムの外注開発を行っている企業の方が競争力があり、システム内製を行っている企業の方が劣後している状況です。結果だけ見れば「SIerへアウトソーシングを行っている方が、顧客ニーズに応えたシステムを構築できている」というわけです。
「これからは内製化により品質を高めることができるので、シェアを高めることができる」という見方もあるかもしれませんが、昔からシステムを内製しているカブドットコム証券なんかを見るに、そこまでのシェア向上は期待薄かなと思われます。
※ここらへんはどうなるか、未知数な部分もあるので今後も注目です。
この手の、内製よりもSIerで作られたシステムのほうが競争力があるなんて話は、実はインターネット専業証券以外でも聞きます。
秘密保持の観点からおおっぴらにいうことができませんけどね。。。
まとめ
手前味噌な話で。
オッサンが思うに、「日本のSIerは世界でも例を見ない」なんて言われる最大の理由は、前述した「諸外国ではシステムを内製で作ったほうが効率・高品質だが、日本ではSIerが作ったほうが効率・高品質」だからじゃあないかな、なんて思ってます。
コレはあくまで「システム」に限定した話ですけど。。。
実際のところ、ウェブサービスなんかでは内製の方が上手く言っている事例を見たりもするので、ここらへんは対象とするプロダクトの種類によって違うかな。
とはいえ、ときとしてユーザ企業以上のシステムを提供できるSIerの存在が、逆にSI業界を歪める問題になると感じている場面もあるので、正直良し悪しかなとも思います。
※気が向いたら詳細書きます
以上