WEBサービス会社のはてながSIerからシステムを買ったこと
getlife - 『ミロク情報サービス×はてな、CFO対談 「上場の意義」…』 へのコメント
2014/10/22 08:59 にブックマーク
へー、はてなってミロクさんの会計パッケージ使ってたんだ。
知らなかった。
「WEBサービス会社」のはてながSIerからサービスを買った理由
SIerで働いている人ならあまり違和感ないんですけど、業務システムに詳しくない人だと「はてなって内製でサービス作っているのに、なぜSIerからサービス買うの?」と思った人もいるんじゃないかと思ったので、ちょっとだけ。
企業の業務システムは、色々な分析方法がありますが、一般的なのは顧客との距離ごとに「フロントオフィス」「ミドルオフィス」「バックオフィス」に分けて機能分析を行うことが多いです。
フロントオフィス
顧客との直接的な営業活動を行う機能に対して働きかけるシステム。CRMやコールセンタシステム等。WEBサービスもここに含まれる
ミドルオフィス
企業収益活動の中心となり、営業の実行と企業戦略を統括するシステム。ミドルオフィスと合わせてバックオフィスと呼ばれることも。
バックオフィス
円滑な企業活動を支援するための間接機能を管理するシステム
イメージ的には以下の図のような形となります。
さて。
はてながミロク情報サービスから購入したのは、「MJSLINK NX-I」。財務会計を中心とした業務システムで、バックオフィスからミドルオフィスの入り口までの機能を管理するシステムとなります。
一般にバックオフィス機能のシステムですが、
- 仕様変更が少ない
- 変更時のスコープ管理がしづらい(制度変更など、お上の都合で仕様変更が要求される)
- システムリリース期限の自由が持ちづらい(お上の都合で決まることがある)
- コストセンターである
と言った特徴をもつシステムと言われてます。
上記の特徴は、アジャイル開発等のWEBサービスでよく使われる開発スタイルと相性が非常に悪く、内製化だとどうしても高コスト化しやすい部分であり、維持するモチベーションを持ちづらい。
なので、ERP導入したりパッケージ構築、SaaSやASPなどSIerのサービス買うのが合理的と考えてます。
※そういえば、以前はスクラッチで作ってる事例もありましたけど、最近はトンと聞かないですね。。。観測領域だけなのかな。
なので、今回のはてなの判断は、IT投資管理上合理的な判断だと思います。
エンプラシステムとして見た場合のはてなのシステム構成
比較的モダンなエンプラシステムでは、フロントもミドルもバックも全て共通のEBSに載せたSOA形式でアーキテクチャ組むこともありますが、記事を見ただけでははてなの事例ではそこまで全体最適化されたエンプラアーキテクチャになってなさそう。
上場ぐらいまでなら現状でも大丈夫かな、と思いますが、さらなる事業拡大を考えた場合、いずれかのタイミングでアーキテクチャの改善が必要となる場面があるんじゃないかな、なんて思います。
まとめ
そういや以前、
相互の能力需給関係のマッチングがあるからこそ、ユーザは高いカネを支払ってでもSIerに仕事を依頼したい。
別に、ユーザはシステムの規模が大規模だからSIerへ仕事を依頼するわけではありません。規模はただの一要因。大小関わらず、比較優位の原則に従いSIerに仕事を依頼することが合理的であれば、ユーザ企業は仕事を依頼するだけです。
と書いてpaiza社のSIerへのDisに文句たれてたわけですが、まさにその反証を同WEBサービス企業であるはてなが実施しているかたちになったことにちょっとオドロキ。
はてなは、きちんとIT投資管理を理解しているんだなあ。
まあ、WEBサービス業も企業である以上は収益性等の考慮が必要なわけで。。。
はてな含むWEBサービス業では、収益を最大化するためには、どこまで内製化するのか、どこまで外注するのか、と言った見極めが必要な分、CIO等経営層に求められるIT投資管理は重要性を増すのじゃあないだろうかなんて思うわけです。
以上