paizaには認識されてないSIerで身につけられる技術
SI⇒Web転向に失敗するエンジニアに共通した【たった1つの特徴】 - paiza開発日誌
SIerがぬるま湯なのか。。。SIerって平均的にはわりかし給料が高いけど、高給ぬるま湯ならホワイト企業ってことで、SIerへ転向進めたほうがいいんじゃないのかな。
2014/11/12 00:41
個別の転職話は正直興味ない話なのでここではおいておくとして。。。
毎度のごとく、SIer disへの誤りを指摘しておきますか。
転向者の割合を求められる水準の高さと勘違いしてはダメでしょ
ふむふむ。主張としては、WEB業界へ転向する人のうち、22.8%しかいないため、WEB系企業で求められる人材の水準が高い、と言いたいようですが。。。
でも、その直前にはこんなこと記載しているんですよね。。。
逆のSIerの中途採用の7.3%がユーザ企業から、2.2%がWeb企業からとなっており、SIerからユーザー企業、Web企業への流出は増加しています。
・・・これ、数字だけ見れば、WEB系からSIerへの転向者の割合は、SIerからWEB系企業への転向に比べて著しく少なく、更に高い技術水準を求められているってことになるんじゃないのかな。。。
WEB系企業からわずか2.2%しか転向しないIT企業は、さらなる狭き門である!と。
まあ、自分で書いていて何書いてんだろうという気分になるわけですが。。。
お分かりの通り転向者のパーセンテージを見て、広き門だ、狭き門だ、なんて主張すること自体があまり意味が無いわけですよね。
ぶっちゃけていってしまえば、他業種、他業界からの転向者の多寡なんてのは、その業界に対する求人需要の差異の現れなだけで、それをもって「SIer⇒自社Webサービスは非常にハードルが高いのです。」ってのは些か話が飛び過ぎってもんでしょう。
paizaには認識されてないSIerで身につけられる技術
paiza社の記事で一貫しているのは、「働く個人としては低スキルでも働けるようになっており、スキル向上の場がない」、つまり、SEはスキルが低いという主張しているわけですね。
いや、もしくはプロジェクトマネジメントぐらいしか身につけられるスキルが無いと。。。ホントかい。
SIerは個人個人のスキルが無くても、プロジェクトを細かくタスク分解し、誰にでもできる作業に落とし込んでいく事で、属人性を排し、多重下請け構造で巨大なシステムを作れるように仕組化されています。
それができるなら、ウチのチームのメンバーはとっくの昔に全員オフショアにしているっての。
タスクを分解することは、「誰にでもできる作業に落としこむ」のではなく「求められるスキルセットに合わせた仕事に分解する」ってのが正解です。
例えば、ヨーロッパなどではSEの仕事として
- システムアーキテクト
- エンタープライズアーキテクト
- システムアナリスト
- ビジネスアナリスト
- アナリストデペロッパ
- ソフトウェアデベロップメント (Java/C#/.Netなど言語ごと)
に分けられたりします。
あっちではジョブ型雇用が中心なので、実際に行うスキルセットに応じた雇用が存在するのでわかりやすいのですが、日本はどちらかと言うとメンバーシップ型雇用なので、上記のような欧州では複数のスキルセットとして見られる仕事を横断的に実施することが多い。
上記を見てもわかるように、SEに求められるスキルはかなり多岐にわたっているんですよね。
オッサンみたいなプロマネは、WBSで作業をメンバーのスキルセットに合わせた作業単位に分解することで、各人の得意とするスキルに合わせた円滑な仕事をできるようにするというわけですよ。
属人性を無くすとかってのは、どちらかと言うとサービスを維持するための話。「誰でも出来る」の冠詞には「必要なスキルが有る人なら」が隠れているわけ。
エンジニアとしてのスキルがいらない、って話とは違います。当たり前なんだけど。
で、上記の様にWBSごとに作業を分けたとして、アサインする仕事を変えたり、そもそもタイプの違う仕事をスキルの身につき方は変わってくるわけで、成長しないなんてことはないわけで。
そもそも業界理解が甘い
ここまでがメインなのであとは細かい指摘を。。。
銀行なら「 地銀共同センター」や「NEXTBASE」、保険なら「e-JIBAI」とか知らないのかな?
金融系って昔からASP(要はSaaS)の利用が活発だったりするのですけど。。。
ここで銀行保険を例示するのは適切じゃあないですね。
システム内製化でSIerへのシステム外注より競争力を高められるのか - プロマネブログでも記載したんですけど、オントレ証券なんかではITが事業のコアとなっているわけですが、外注率が高い。
「人材教育・評価体制の構築」「外注価格と外注先のスキル」「事業の撤退可能性と容易性の確保(逃げ道戦略)」「IT以外の営業戦略の存在と比重」「予算の固定化/流動化」「法・政治リスク」「セキュリティ」などのファクトが存在し、内製化が良いのか、外注が良いのか判断したりするわけで、単純にコアコンピタンスだから内製化する、ってほど簡単な問題じゃあないです。
他にもありますが、このぐらいで。
まとめ
paiza社の記事見ると、ソフトウェアデベロップメント以外のスキルは存在しないと主張しているように見えますが。。。
まあ、ソフトウェアデベロップメントのスキルを商売にしている会社だし、「我々の認定しているスキル以外は存在しないので、paizaのサービス利用してね」ってポジショントークとしては仕方が無いのでしょう。
ただ、他の業界をdisるのは感心できる行為ではないです。しかも、企業広報ブログで。
企業広報が自社のCSRやコーポレート・ガバナンスをあまり考えてないのか。。。
自社の価値を高めるどころか、ヘタしたら自社の価値を下げる可能性は意識してないのかなあ。
繰り返しとなりますが、WEB系で求められるスキルが有るようにSIerで求められるスキルも存在します。
自分の業界ではそのスキルが必要ないって話と、スキルを成長できないって話はまた別物。
それを、「SIerではスキルを成長できない」なんてとらえるのは、ちょっと視野が狭いんじゃあないかなあ。
以上