2014年仕事納めの振り返り
今年の仕事の締めも無事終わったので、先日*1に引き続き、個人的な仕事のことについて振り返りをつらつらと。
仕事のこと
- あいも変わらずミッションクリティカルASPの保守開発
- 例年の目標通り、デスマ発生0件、費用超過なし。ノートラブル継続中。
- 基幹系システムは、忙しさは制度案件に左右されがち。今年もそこそこ発生したものの、先を読んだ設計にしておくことで回避。制度案件だと大体改修が必要な場所は決まっているので、先読みして「変更しやすい設計」を入れておくことは開発生産性を高めるためにも必要かな。
- 今年はチーム運営強化に力を入れていた年だった。。。属人情報の形式知化、およびそこから得られたノウハウの設計・開発への半自動的なフィードバック方法をずっと考え続けていたような気がする。
- seleniumには非常にお世話になった。
- ベネッセのセキュリティインシデントは結局のところセキュリティ運用強化として影響を及ぶこととなった。個人情報が流出されただけでなく仕事にも迷惑を書けてくれるとは。。。とはいえ、個人情報が流出したらまずいのはベネッセ以上なので諦め。
- オフショアにしばらく顔を出してない。マネージャとしては現場の状況をチェックすることも必要。来年は顔を出さないと。
- リファクタリングは継続テーマ。基幹系で使える強力なCOBOLのオブジェクト指向フレームワーク作れたら色々なところ(政治的なゴニョゴニョ含めて)でカネになるんじゃないか、と常々考えているのだけど。。。
- 若手教育は苦労する。若手だと案件経験が少なく、ミドルウェアやハードウェア方面の知識教育が都度必要となる。まあ、誰でも最初はそんなものなのだけど、最近の案件がどうもアプリ寄りに偏りがちでバランスよく育てられないのが悩み。
- プロジェクト運営などの本を読んだけど、一番良かったのはやっぱりPMBOK(第5版)。第4版を2~3年前に読んだきりだったけど、改訂版を読むと改めて知識の補強となる。応用事例を読むのも悪くないけど、基本を見直すのはもっと良いと思う
- 他にはシステム投資分析、雇用契約法関連を読んだ
まとめ
今年のブログの更新はこれで終わりにしようかと思います。
又来年も良い年になるように。
以上
プロジェクトマネジメント知識体系ガイド(PMBOKガイド)第5版 (A Guide to the Project Management Body of Knowledge)
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- 発売日: 2014/02/15
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2014年年初の業界動向予想の振り返り
自分の予想に対しての振り返りを行ってみようかと。
消費税増税の影響は想像より大きかった
2013年からの傾向から、2014年は死ぬほど忙しいんじゃないかと予想していたのですが、実際のところ「そこそこ」忙しいって感じで幕を閉じそうです。
原因は、消費税増税かな。
想定より景気への影響が悪いと感じたB2Cのユーザ企業は、今後の景気の行き先で不安を感じたため投資意欲が一気にブレーキが掛かった。その煽りを受けて、SIerに依頼される投資案件がぐっと絞られた感触があります。
なので、現在の開発パワーでは破綻するんじゃないの?と予想していた感も若干あったのですが、実際はトントンといった感じでデスマが多発するような事態とはならなかった感じですね。
※とはいえ、ユーザ企業の種類によっては消費税に対する受け取り方違うので、別のユーザ企業を相手にしているところだと忙しさは変わらなさそうな気がします。公共系を相手にしているところとか。
外注化は相変わらずだけど、当初予想と違っていた
- 企業内製化は後退する
元々の予想は「IT部門の開発案件が外注化される」を予想していましたが、実際のところはちょっと毛色が違っていた認識です。
元々は、IT投資拡大にともなって不足する内部リソース問題を解消するべく外注が増加する、といった予想でしたが、
- そもそも、IT資産を持たずにBPOを活用する様に転換(そもそも、IT投資という概念から脱却)
- 全て内製だったシステム構築から、クラウドによるインフラ構築などをSIerに依頼(SIerの技術買パターン)
といった非開発リソース系の外注パターンが散見されました。
BPOの拡大は、人手不足の結果、そもそもシステム投資を行っても使う人間自体が不足していることの現れかもしれないです。現在の人手不足はしばらく継続するでしょうし、BPO方向の外注は更に拡大となるかもしれないかなあ。
クラウドはプライベートクラウドが強かった
今年はクラウド導入案件が多かったですね。概ね予想は当たりでした。
ウチの導入事例がはてなのホッテントリに上がってたりしてましたが、単にコスト削減といった実益だけでなく、宣伝効果として先進性をアピールといった副次効果や先を見据えてのIT資産ポートフォリオの種類拡大のためなど、部分部分でクラウドを利用する場面が増えてきた感じがします。
ところで、クラウドというとAWSみたいな「パブリッククラウド」が注目されがちですが、現場から見ると実際にはプライベートクラウドの進展のほうが強かったように感じます。
パブリッククラウドでは、特に基幹系システムでは超えなければならない課題が幾つもあるため、敷居の低いプライベートクラウドからまずは導入しようという動きが強かったように感じます。
※業務システムのクラウド化は、「パブリッククラウド導入しました」みたいな公表ニュース以外の動きで面白い話もあるのですが、さすがにブログでは書けない。。。
まとめ
予想に対して振り返りですが、全体的にはほどほどの的中と言った感じです。
改めて思うのが、政治や社会動向の影響はかなり大きいですね。
消費税増税が延期となったりしたことを考えれば、来年は又違った様相となりそうな気がします。
以上
IT関連メディア亡国論
過去2回に渡り、SI亡国論と言いつつ、適切な問題設定を行っておらず論理展開に問題があることを指摘しました。
システムは「人間」が使うということを甘く見るべからず - プロマネブログ
元の記事は4回に分かれてますが、そろそろ書くのも飽きてきたので最後の指摘を書いておこうかと。
今回の記事は過去分の記事とほとんど重複しているので、4回目だけに記載されている内容についてだけ突っ込んでおきます。
※正直、重複だらけの文章なので4回に分けたのって意味があるのかと思うぐらい水増しした文章なのですが。。。いいのか。
「マーケティングができないITベンダ」という言葉に見るビジネスの理解度
「後追い」から「御用聞き」への転換
・・・
マーケティング能力の無い日本のITベンダー
・・・
マーケティングができないITベンダーが
過去2回の指摘でも思ったのですが、この人は本当に日経の記者なのだろうか。
あまりにもビジネスモデルを理解してなさすぎる。
(1) 一般消費者向けの商品・サービスを主に販売するB2C(Business to Customer)モデル
(2) 他の企業・組織向けの商品・サービスを主に販売するB2B(Business to Business)モデル(a) 需要の予測にもとづいて、商品・サービスをあらかじめ用意しておく見込型ビジネス
(b) 個別の注文を受けてから、商品・サービスを提供する受注型ビジネス
佐藤さんの過去のエントリで丁度説明したいことが記載されている物がありましたので、参考まで。
SIer、要は「B2Bでシステムの受託開発する企業」をベースに言ってしまえば、これらの企業群のビジネスは「受託」という言葉に代表されるように、顧客需要がありきの商売となってます。
つまり、マーケティングと言う概念が存在しないわけですね。だって、幅広い市場(マーケット)からお客をかき集めるのではなく、目の前のお客さんの需要を掘り起こして仕事を増やす、というビジネス原理で動いているから。
こういった業界で必要なのは、マーケティングではないです。
元記事の御仁自ら書いているように、「御用聞き」言い換えれば「コンサルティング」なんですね。
だから、1990年~2010年ぐらいまでの間、SIerにもコンサルティング機能を強化しなければならないってことで、SIとコンサルティングファームの合併が行われたわけですね。
- 1988 NRIとNCC(野村コンピュータシステム)の合併
- 1989 DIRとDCC(大和コンピュータサービス)、DSS(大和システムサービス)の合併
- 2007 アビームとアビームシステムエンジニアリングと合併
- 2010 日本IBMとIBCSの合併
適当に列挙しましたが。
てなわけで、「マーケティングができないITベンダー」なんて言った瞬間、ITベンダーのビジネスモデルを理解してないことを露呈することとなるわけです。
多重下請け構造破壊が確実な中小ベンダの利益となるのか?
中堅中小のITベンダーには、もっとチャンスがある。ようやく多重下請け構造から抜け出す絶好の機会が訪れたからだ。同業のITベンダーやユーザー企業のIT部門に営業するのではなく、ITを活用した新サービスの立ち上げを目指すユーザー企業の事業部門にスピード開発を提案してみるとよい。
なるほど。これが実現すれば素晴らしい。
でもね、自分で書いてますよ。
下請けや孫請けなどの受託ソフトウエア開発会社は、メインフレーム時代から変わらぬビジネスモデルだ。と言うか、ビジネスモデルと呼べるほど特別なことをしているわけではない。経営者らの属人的なツテを辿ってソフト開発を請け負い、必要に応じてその一部を外注に出す。このようにして多重下請けの連鎖を作り出してきた。
この点については一部同意できる部分があります。
特に、中小のソフトウェア開発会社は、所謂元請けと呼ばれるSIerと比較し、営業力が弱く、適切な契約形態を定義するためのビジネスモデリングに弱い場面をしばし見かけます。
例えば、以前指摘したこんな記事
「価値創造契約」は対価の設定が問題では無いだろうか - プロマネブログ
こういうビジネスモデル化を行うのも一種のコンサルティングや営業力になるわけですが、こういった機能が弱いなーと感じる場面がしばしあります。
さて、このような状況下で御仁が語るよう、多重下請構造がなくなればどうなるか。
とまあ、このような形で、米国における多重請負構造は、オフショアの台頭により中小ベンダにダメージを与える形で縮小したと考えられます。
アメリカの事例を見れば明らかです。10年近く前に出版された「MY JOB WENT TO INDIA」を見れば、SIerやWEB系企業など、ありとあらゆる企業でプログラマがインドオフショアに置き換えられた事実があります。結果、中小ベンダが壊滅的な状況になったりしました。
個人的な試算ですが、おそらく多重下請け構造が解消されると同時に、日本のIT投資がおおよそ1.5~3倍程度に膨らまなければ、大量のエンジニア失業者を生むんじゃないかなと予想してます。
9割減ると言っても、それだけのITベンダーが全て消えると言っているわけではない。
残存者利益を狙った規模拡大のためのM&A(合併・買収)もあるだろうし、別のビジネスモデルに転換するITベンダーも出てくるはずだからである。
消えない理由が甘すぎる。全てがサプライサイドの事情ばかり。それで解決できるのなら苦労はしません。もうとっくの昔に解決してます。人間を窮地に追い込めば、勝手になんとかなると思っているのかね。ただのネオリベですか。
それこそマーケティングできちんと分析したほうが良いんじゃないかな。
普段、「アメリカが~」って出羽守ぶりを発揮しているのであれば、アメリカで起きた事情が日本でおきるぞ、って語ったほうがいいんじゃないか。
都合がわるいことだけ目をつぶるのは如何かと思います。
まとめ
毎度のごとく長くなってしまいました。
色々書いていて思ったのですが、もしかしたらこの御仁、煽りとか抜きで本気で「SI亡国論」を信じているのかもしれないと思いました。
ただ、本記事を含む3回の指摘を行ったように、見ている内容があまりにも表層的なものだから、的はずれな結論だけが積み上がってます。
それこそ、安易な論理展開でSIerだけでなく、ITエンジニアの不利益にもつながるような。
悪いことを悪いという批判、問題提起は必要だと思います。IT関連メディアとしてそういうスタンスをとっても良い。ただ、問題提起を行うのであればきちんとした分析と理解は必要だと思います。
でなければ、まさに「地獄への道は善意で舗装されている」って言った感じで、ただただ問題を振りまくだけの存在となるでしょう。
まさに、IT関連メディア亡国論です。
以上
My Job Went To India オフショア時代のソフトウェア開発者サバイバルガイド
- 作者: Chad Fowler,でびあんぐる
- 出版社/メーカー: オーム社
- 発売日: 2006/09/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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システムは「人間」が使うということを甘く見るべからず
前回*1に引き続き。
「日経」記者のSIerビジネス知識の欠如
ITProはいちおう日経系列なので、そこで働く記者も一般レベルのビジネス知識を持っているかと思いたいのですが。。。
例えばERP導入。本来なら可能な限りノンカスタマイズで導入したほうがユーザー企業の経営に資するのだが、IT部門は事業部門の個別要求に抗せず、アドオンの量を膨らませてしまう。そしてITベンダーにとっては、そのほうが開発量が増えて儲かる。しかも、その後の保守も膨大なものになり、それを請け負うことでさらに儲けることができた。
スクラッチで開発したシステムなら、なおのことだ。
上記文章。これを日経記者が書いちゃうのか。。。これでよくITビジネスを語れるなあ。
うちもそうだけど、大体のSIer、特に元請やっているような企業の有報見ると、しばし「不採算案件の発生による収益減」なんて文言があちこちで見られます。
ぶっちゃけて言えば、受託開発案件で炎上など起こしてしまうと、仕事は完了しないのに再委託のパートナーさんを雇用しなければならず費用が膨れ上がる、要は赤字化してしまいます。
なので、会社によっては微妙に戦略が違いますけど、大体の方針として極力パッケージやASPなどへノンカスタマイズで導入しようとしているんですね。
事業説明資料などでも「自社のパッケージ販売の拡大」や「自社サービスへの誘導」、「SAPの販売拡大」みたいな感じで書いてあることもしばしば。
同じ問題解決を行うのであれば、低リスクな道を選ぶようにするのが当然ですがな。
業界を語りたいと思うのなら、決算資料を見るなんて常識中の常識なのに。
まかりなりにも日経に関係している記者が読んでないとは思いたくないのですが。。。どうだろ。
システムは「人間」が使うということを甘く見るべからず
ERPを徹底的にカスタマイズして導入した、ある大手製造業の経営者が「ITコストが膨らみ、まるでERPのために仕事をしているようなものだ」と嘆いていた
なるほど。製造業ではEPRをカスタマイズ導入してコストがかかってしまったと。
では、ノンカスタマイズで「大手」製造業に対応できるERPは存在しているのでしょうか?過分に耳にしたことはありません。
では、業務ギャップが存在するERPをノンカスタマイズで導入した場合、当然オペレーションコストが発生するわけですが、それとITコストを比較した場合の金額差は?多分、KPIは取られてないんじゃないかな。
ITコストは金額として見える反面、カスタマイズも何もしなかった場合のオペレーションコストの増加分は、きちんと計測しなければ見えない。なので、人間のコストを甘く見積もる傾向があるんですね。
で、きちんとシステム投資すれば解決できるようなことでも、デフレ環境下では人間のコストの方が安そうに見えるもんだから、ERPをノンカスタマイズ導入し力技の長時間労働で対応しようとして結果、現場が疲弊するなんて事例はいくらでも散見されます。
上記の事例を示唆する話があります。
世界でもトップを取るような日本企業の業務を分析し、米国対応パッケージとして開発したシステムを米国に導入しようとした事例の話。
米国会計基準やヤード・ポンド法など、アメリカで導入するために必要となる標準化を行いいざシステムを導入したものの、結局米国側でフルスクラッチでシステム開発となってしまいました。当然、コストはかさんでしまうわけです。
合理的なはずのアメリカ人がなぜ?
実は、ほんの些細な日米の商習慣のずれを利用者が感じてしまい、業務効率が上がらないと判断したことが原因だったりします。
アメリカ人だって、自分らの商習慣に合わなければ、どんなに優れた業務ノウハウがつめ込まれたパッケージであれ、当たり前のように使わない選択を選びます。日本企業がスクラッチを選んでしまうように。
なんでもかんでも標準化すれば良いなんていうのは、人間を無視した暴論としか言いようがないです。
業務の標準化に欠かせない法と自主規制団体の存在
欧米のユーザー企業の多くは20年ほどの歳月をかけて、ERPなどを活用して業務改革を進め、業務プロセスの標準化を成し遂げている。これにより単に業務の効率化を極大化させただけでなく、経営の見える化もほぼ達成した。さらに中国など新興国の企業もERPをほぼノンカスタマイズで導入することで、一気に欧米流の効率経営を手に入れつつある。
OK。そのように語るのであれば、ぜひとも日本の企業が欧米の商習慣を導入することで経営効率化できることを示していただきたい。
当たり前ですが、1社だけ導入しても生産性は上がりっこない。貿易などで先進国との取引が多い中国のような新興国企業なら、個社で導入しても取引先の多くが海外であれば、さほど苦労なく生産性を高めることができます。
日本のような経済がそれなりに大規模な物となった国では、国内の取引も活発です。
となれば、社内業務の標準化を行うためにも、取引先を含めて商習慣の標準化を行わなければなりません。
意外と知られてないのですけど、日本でも特にERP等のパッケージが導入され、システムが高度に標準化された業界があります。
メガバンクを除いた地銀、証券、損保といった金融業界です。
これらの業界では、共同利用型のASP(SaaS)やパッケージの利用率が高く、おおよそ5~9割近くの企業が、標準化された業務システムを利用するようになってます。
日本のパッケージ利用率が1割以下であることを考えれば、驚異的な数字です。
前述した業界は、所謂「規制産業」です。商取引や業務内容などは法律によって厳しく制限されてます。
なので、各社の業務内容は同一とならざるを得ない(工夫のしようがない)ため、自然とASPやパッケージを利用すると言った選択を選んだ形になったわけです。
1ユーザ企業の業務システムを標準化したくても、その先の業界全てを標準化することには不可能です。となれば、無理に標準化を行ってしまうとかえって効率が低下してしまう。このような状況下で、効率低下を覚悟でシステムの標準化をユーザ企業が選択することは厳しいでしょう。
結局のところ、こういった標準化というのは、業界団体や法といった政治の世界の話。
それを行わないのはSIerが悪いというのは、まさに暴論。
まとめ
今回の話は、もう言ってしまえばSIerに関係ない話をSIerが悪いと入っているような話、ユーザ企業がどうしようもない部分をユーザ企業の責任というばかりで、いちゃもんとしか言いようが無いレベルです。
こういう話って、普通は何も知らない素人が思いつきで語る話であり、IT関連のメディアがきちんと分析した説明を語るってのが正常な世界じゃあ無いのかな。
でなきゃ、IT業界に潜む問題を解決できないどころか、問題を深化させるだけでしょう。
「SI亡国論」なんて話ではなく「IT関連メディア亡国論」じゃないのか、と。
もう一つの記事*2に対しても、指摘を書こうと思いましたがもう体力の限界なので今日はここまで。
以上
世界の中での日本のITサービスの評価
極言暴論スペシャル! - SI亡国論(1)- 日本にも世界にも全く貢献できないIT業界:ITpro
年末、仕事がたてこんでおりすっかりブログ更新をサボってました。
反応するのもバカバカしくなってきたのだけど、こういう分析も何もない思い込みだけの記事を垂れ流すのを見過ごすのも精神衛生上よろしくないので。。。
世界の中での日本のITサービスの評価
昔書いた上記の記事がまあ答えなのですけど、日本のエンタープライズシステムって世界の中でもかなりの好評価を得ているんですよね。
エンタープライズシステムやWEBサービスなど各種ITサービスの中で、イノベーティブであると評価されたシステムの数で言えば、世界でも2番めの評価。(一位は当然のごとくアメリカですが)
とかくエンタープライズシステムの様なB2Bで使われるシステム、利用者が特定されたシステムは、B2Cのような「わかりやすい」形で見えるようにはなってません。ミドルウェアや言語みたいに、広く技術者に知れ渡っているようなものでもない。
エンプラの分野では、内部のアーキテクチャなどがオープンとなっておらず、一子相伝の秘技となって情報公開されないことも珍しくない。傍から見たらよくわからんだろうなとは思います。
日本のITサービスで世界に評価された画期的な技術やサービスを知らないからって、存在しないわけじゃあ無いかと。
それこそ、視野の広さの問題じゃないかな。
日本のSIerとサムスンを比較して何がしたいのか?
どうも、世界で戦えるIT企業の姿が文中でもぶれすぎている。。。
アマゾン・ドット・コムやマイクロソフト
コンシューマ?OS?
ハードウェア?モバイル機器?
インド側から見ると景色が変わる。圧倒的なコスト競争力で欧米、そして日本のシステム開発、プログラミング需要を一手に引き受ける
これらの企業とエンタープライズシステムを作成するSIを比較して何がわかるというのか?
単にIT業界と言った世界でも、取り扱う製品・サービスの違いで競合、戦い方、世界への関わり方が違うわけで。どうも、この御仁は気持ちが先行してしまい、論理展開をすっ飛ばしているみたい。
日本のIT業界としてSIの仕事と比較したいのであれば、同じくエンタープライズシステムの分野で語らなきゃ比較できない。
同じ輸送機器だからって、乗用車とトラック、バイクに電車を比較しているようなもんですよ。
ちなみに、エンタープライズシステムの分野では、多くの国では地場のローカルベンダーが中心に活躍してます。一部の国では、IBM等の多国籍ベンダが圧巻している国もあるけど。
参考:日本のIT業界を「SIガラパゴス」と言う前に知っておきたい海外ベンダ事情 - プロマネブログ
まあ、ビジネスソフトの分野で語った瞬間に、記事としての煽り成分がなくなってしまうので書けない事情もあるのかな、という気もします。
(純粋に何も考えてないような気もするけど)
同一文章内の矛盾を文章のプロが書くのはいかがなものか。
1ページ目の
画期的な技術を生み出すことで新たな価値を提供するのがIT産業である
に対して、4ページ目の
低コストも企業が提供し得る付加価値の一つである。その意味ではインドにも世界に貢献するIT産業が存在するわけだ。
とりあえず、同一文章内での整合性は取ったほうが良いのでは。
一応、文章のプロなんだし。
まとめ
毎度のごとく、煽り成分たっぷりな反面きちんとした内容になっておらず、結局煽っておしまいという感想の文章で微妙な感じでした。
今回の記事、とかく出羽守ぶりが際立った文章でした。
こういった表現、正直好きではありません。
「日本のITベンダは米国ベンダの猿真似だ」と言いつつ、語る言葉は「世界では~」「米国では~」、「欧米では~」。
知ってる限りの話でIBM等の多国籍ベンダを語っている反面、米国や欧州のローカルベンダの姿は露も見えない。日本をガラパゴスと語れれば、世界のベンダを正しく分析することは放棄してもよいのだろうか。。。
まともな情報分析もできないからこそ、「日本の雑誌メディアは米国雑誌メディアの後追いで滅亡の途を進んでいる」ということになるんじゃないかな。
以上
ふるさと納税しようとしたらもらえる特産品がカオスになっている件
ふるさと納税の制度が2008年に開始されて以降、毎年のように故郷の自治体などに寄付してきております。
ふるさと納税の楽しみの一つは、各地の特産品がもらえること。もらったものが思ったよりもよく、定番の取り寄せ商品になっている物もあります。
さて、今年も、同じくふるさと納税しようと思い色々な地方自治体をチェックしていたのですが。。。
なんだか、ずいぶん特産品がカオスになってきたような。
気になったものを、以下紹介。
1.ふるさと納税すると1日市長になれる
香川県東かがわ市[ひがしかがわし]のふるさと納税で選べる特産品・特典・使い道はこちら | ふるさと納税ポータルサイト「ふるさとチョイス」
東かがわ市では100万円寄付すると1日市長になれます。
2.ふるさと納税すると1日町長になれる
山形県真室川町[もがみぐん まむろがわまち]のふるさと納税で選べる特産品・特典・使い道はこちら | ふるさと納税ポータルサイト「ふるさとチョイス」
こちらも負けてない。真室川町では100万円寄付すると1日町長になれます。
3.ふるさと納税するとニュースキャスターになれる
兵庫県多可町[たかぐん たかちょう]のふるさと納税で選べる特産品・特典・使い道はこちら | ふるさと納税ポータルサイト「ふるさとチョイス」
多可町では、100万円寄付すると1年間地元テレビのニュースキャスターになれるそうです。
給料がもらえるかどうかは不明。
4.ふるさと納税するとヒーローになれる
兵庫県多可町[たかぐん たかちょう]のふるさと納税で選べる特産品・特典・使い道はこちら | ふるさと納税ポータルサイト「ふるさとチョイス」
同じく多可町では、100万円寄付すると1年間ご当地ヒーローになれるそうです。
同じく、給料が出るかは不明。
5.ふるさと納税すると気球がやってくる
上士幌町では、100万円寄付すると気球がやってきます。
京浜地帯でも来てくれるのかな?
6.ふるさと納税するとヘラクレスオオカブトがもらえる
香川県東かがわ市[ひがしかがわし]のふるさと納税で選べる特産品・特典・使い道はこちら | ふるさと納税ポータルサイト「ふるさとチョイス」
100万円寄付すると市長になれる東かがわ市では、27,000円寄付するとヘラクレスオオカブトがもらえるそうです。
他にもコーカサスオオカブトももらえるとのこと。
でも、これって特産品なのかな?
7.ふるさと納税するとアイドルグッズがもらえる
沼津のご当地アイドル オレンジポート*1グッズがもらえます。
サイン色紙などは、ファンにはたまらないのでしょう。
- アーティスト: AR’Z,SAKI OHKI ORANGE PORT,ORANGE PORT,大木サキ,AR’Z,雄大グループ,YANAGIMAN
- 出版社/メーカー: LINK RECORDS
- 発売日: 2013/02/23
- メディア: CD
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8.ふるさと納税するとTポイントがもらえる
市川市に1万円以上寄付すると、Tポイントが2000ポイントもらえます。
これはさすがに市川関係ないよな。。。
9.ふるさと納税するとフィギュアがもらえる
倉吉市に1万円以上ふるさと納税すると初音ミクフィギュアがもらえます。
これは申し込みが殺到しそう。
ほかにも、諏訪市に納税すると、諏訪姫フィギュアがもらえたり、
すわひめパラドックスセット BOX (PVC塗装済完成品ミニフィギュア)
- 出版社/メーカー: ピーエムオフィスエー
- 発売日: 2014/08/01
- メディア: おもちゃ&ホビー
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石巻市にふるさと納税するとシージェッター海斗のフィギュアがもらえます。
10.ふるさと納税するとゲームソフトがもらえる
各務原市に1万円以上納税するとゲームソフトがもらえます。
ざっと対象のソフトを列挙してみましたが、今年発売のソフトも対象だったりして、かなり充実してます。
なるほど、日本一ソフトウェアが各務原市にあるからみでふるさと納税の記念品になっているのね。
11.ふるさと納税すると乗用草刈機がもらえる
うきは市に、なんと2,048,000円以上寄付すると乗用草刈機がもらえるとのこと。
204万て。。。誰かもらった人はいるの
まとめ
いやね、去年まで米や肉といった地場の特産品ぐらいしかもらってなかったし、変わり種と行ってもゆるキャラグッズぐらいだったので、ここまで色んなモノが特産品、記念品としてもらえるとは思いにもよりませんでした。
ここでは消化してないんですけど、他にも「腕時計(しかも、セイコーのかなりいいやつ)」や「電動自転車」、「手掘り仏像」などもあったりも。
う~ん、ふるさと納税ブームとは聞いていたものの、ここまでバリエーションが増えているとは。。。
来年はどうなることか
以上
*1:公式サイト ORANGE PORT
日本でオフショア開発が普及するとプログラマの給料が上がる仮説
ここ数日「アメリカのプログラマの給料が高い!」という話題が飛び交ってますね。
まあ、給与の話はだれでも気になりますよね。私も気になります。
日本でオフショア開発が普及するとプログラマの給料が上がる仮説
もしかしたら、アメリカのプログラマの給料が高い理由って以前書いた記事に大きく関係するんじゃないかなと思ったので、ちょいとイメージを整理してみようかと。
アメリカの20年前に起きたオフショア活用の拡大と同様の事態が、日本人プログラマ*1の人とお金の動きに与える影響イメージを図示してみます。
かなり適当な絵ですけど。。。
ざっくりと説明すると
- 国内のプログラマの仕事のうち、日本人プログラマでは採算の合わない仕事がオフショアへ移管。逆に、日本人が必要となる高スキルな仕事でのプログラマが残る。
- 一部の高収入なプログラマを除き、多数のプログラマは仕事を失う。一部の資金はオフショアの外注費となるが、オフショアは人件費が安いため、結果として余剰資金が発生。
- (IT投資意欲が減少しない限り)余剰資金を国内プログラマの雇用に再投資。平均給与が既に上昇している状態なので、上昇後の給与をベースに再雇用。仕事を失ったプログラマの一部が新たな仕事に。
といったイメージとなります。まあ、まんまアメリカの昔話を日本に当てはめただけです。
つまり、日本のプログラマの仕事がオフショアに移った場合、失職するプログラマが多数発生しますが、それでも残ったプログラマの平均年収は今よりも上がる形になるわけですね。
上記図の最初で、プログラマの人数と年収を企業規模ごとに変えた形で図示してます。これは、政府統計から、プログラマ給与の基礎データを抽出したデータを参考にしたためです。*2
企業規模 | 平均年齢 | 人数 | 平均月収 | 賞与 | 年収 |
1000人以上 | 35.7 | 15890 | ¥376,000 | ¥1,371,100 | ¥5,883,100 |
100~999人 | 31.3 | 27250 | ¥313,400 | ¥615,800 | ¥4,376,600 |
10~99人 | 31.7 | 38970 | ¥275,200 | ¥426,600 | ¥3,729,000 |
平均 | 32.3 | 合計 82100 | ¥307,400 | ¥672,100 | ¥4,360,900 |
上記の表からの推測ですが、もし、今現在の状態で日本人プログラマがアメリカのプログラマと同程度の待遇(物価や社会保障の差異を考えると平均年収が600~800万円ぐらい)を得ると想定した場合、日本人プログラマは現在の2~3割ぐらいしか残らないんじゃないかなって気がします。
※要は、上記の大企業で年収600万円相当をもらっているプログラマが、スキルの高い国内残存プログラマにそっくり入れ替わるイメージ。
ちなみに、アメリカではIT投資意欲が高く、追加予算がどんどん振り分けられた形となります。当然、プログラマ需要が高まったわけですけど、上記の失職したプログラマではなく、H1‐Bビザを活用してオフショアや国外の優秀なプログラマを呼び寄せる形になったとのこと。
結果、現在のシリコンバレーの移民および移民一世に比率は「64%」になったとのことです。*3
まとめ
まあ、色々書いてみたわけですが、アメリカのITエンジニア事情にあこがれて日本も同じようにしようとした場合、しわ寄せがどこかによっちゃうんだろうなと推測できるんですよね。
なんで、「アメリカのエンジニア事情は素晴らしい。日本もマネすべき」ってのを聞くと、どうしても身構えて慎重に考えてしまいます。
こういうときに、誰もが幸せになれるような画期的なアイデアが浮かべば一商売できそうな気がするんだけどなあ。なかなか難しい。
以上